寄稿文

【風景のロングパス_1】 「散居」発見!

sun-kyoプロジェクト・設計チームの趙 海光さんによるエッセイを、全12回に渡ってお届けします。
タイトルである“風景のロングパス”には「遠い先の誰かに、この風景をロングパスしよう」というこのプロジェクトへの想いが込められています。



「散居」発見!

 「散居プロジェクト」について、設計者からのメッセージをお送りします。


 プロジェクト名の元になっている「散居村」というのは、広大な水田地帯にポツンポツンと屋敷林に囲まれた家が点在する集落のことで、 日本では珍しい雄大な風景で知られているのですが、 思いがけないことに、私はその風景に富山県の立山町で出会ったのでした。


 じつは「散居村」といえば砺波平野のポスターで見たぐらいの知識しかなくて、ああいう風景は自分とは無縁だと思っていたのです。
でもあれって砺波平野だけじゃなかったんですね。目の前の、立山連峰をバックに広がる田園地帯にも、屋敷林が島のように点在する美しい風景が広がっていたのです。

立山連峰山裾の風景

 さて、これからしばらく「散居プロジェクト」の設計について、その裏話などをお話ししたいと思います。
私はこのプロジェクトを大いに楽しみ、 ワクワクドキドキしながら設計を進めていきました。皆さまにもそのワクワク感を、少しだけお裾分けしようと思います。

【風景のロングパス②】常願寺川へつづく

趙 海光(ちょう・うみひこ)
株式会社ぷらん・にじゅういち代表。一級建築士。

1948年、青森県生まれ。1972年、法政大学工学部建築学科卒業。1980年に株式会社ぷらん・にじゅういちを設立。1990年代には台形集成材を使用する一連の木造住宅「台形集成材の家」を設計。一貫して国産材を使用する現代型木造住宅の設計を続け、建築雑誌へ木造住宅についての論考を多数発表。国産材の開発と普及に努める。2007年以降は「町の工務店ネット」と共同で、日本の町家建築に学んだスタンダードな木造住宅を目指す「現代町家」シリーズに取り組んでいる。